母はグループホームに入った後、あちらこちらの不調を訴えるようになりました。
一つは上の記事で書いた白内障ですが、もう一つは、嘔吐です。
母は昔から胸焼けが酷い時があり、逆流性食道炎と診断された事もありました。
そんな母も認知症になってからは、あまり胸焼けの症状を訴える事はなかったのですが、グループホームに入ってしばらくすると、また胸焼けが酷い事を訴えるようになりました。
しばらくは市販の胃薬で様子を見てましたが、次第に「胸焼け」から「食べた物が胸につかえる」事を訴えるようになりました。
そしてついに、物を食べると必ずと言って良いほど嘔吐するようになりました。
一応、訪問診療で内科の医者には見てもらっているのですが、精密検査をしないとわからないとのことで、消化器科がある病院に連れて行って胃カメラなどの一通りの検査をしました。
母に降った診断は「食道裂孔ヘルニア」というものでした。
もくじ
食道裂孔ヘルニアとは?
食道裂孔ヘルニアとは、簡単に言ってしまうと、胃の一部が、横隔膜よりも上に出てしまっている状態です。
母は、その胃の一部に食べたものが溜まってしまって、下に降りにくい状態になっているようでした。
食べても、胃の下まで行かなくて、胸(の方にはみ出した胃)に溜まってしまって、消化されないうちに吐いてしまっていたのです。
確かに母が吐いた物は胃液臭くありませんでした。
それはつまり胃液まで到達していなかったからのようです。
それにしても、なんで母は食道裂孔ヘルニアになってしまったのでしょうか・・
体質もありますが、母は腰が悪くて、何年も前から前傾姿勢だったので、それも良くなかったようです。
食道裂孔ヘルニアは、畑仕事をするような人に多いらしく(かかった医者談)、それも前傾姿勢が関係しているのではと言われてます。
因みに、食道裂孔ヘルニアになった人の全てが、胸焼け・嘔吐の症状を訴えるわけではなく、何の症状がない人もいるらしいです。
私の母もだいぶ前からそのような状態になっていたのかもしれませんが、グループホームへの入居などのストレスが重なって、症状が悪化してきてしまったのかもしれません。
食道裂孔ヘルニアの治療法は?
食べた物を吐いてしまう原因が食道裂孔ヘルニアだという事はわかりました。
では、どういう治療法があるのでしょうか・・・
私の母の場合、まずは胃酸を抑える薬や食道の動きをよくする薬などを処方されました。
ただ薬を飲むことによる大きな効果はありませんでした。
薬も色々と種類を変えましたが、ダメでした。
根本的な解決方法は、やはり手術しかないそうです。
でも、白内障と同様に、認知症だと全身麻酔手術しかなく、高齢者の全身麻酔なのでリスクが大きいのです。
大きな決め手はなく、医者には、ゆっくり良く噛んで食べるようにする事を伝えられました。
確かに母は認知症を患ってから、あまり良く噛んで食べていないように見えました。
なので、良く噛んで食べるように伝えるのですが、なかなかいう事を聞いてくれません。
これが普通の人ならば「吐かないようにするために、30回、40回噛んで食べて」と伝えれば、流石にやると思それがなかなかできないのです。
やる事を拒否しているわけではありません。
口に残したまま噛むといった動作が難しくてできないのです。
認知症の人が病気になった場合の治療の難しさを痛感しました。
ミキサー食を提案されるも・・
次に医者から出た言葉が「ミキサー食」でした。
要するに食べ物全てをミキサーで潰して、毎食食べさせるという事です。
いや・・それ、もうなんか、人として生きてるだけって感じですよね・・・
母自身も流石に拒否しました。
グループホームの人にも勧められましたが、それで吐かないようになったとして、この先死ぬまでミキサー食というのは如何なものか?
特にグループホームに入った今、母は食べる事以外の楽しみはないのです。
その食べることまで奪ってしまったら、これから母は何のために生きているのか・・?
これまでは割と、母の事に関しては、医者や介護施設の方の言葉には従って来てましたが、この点については断固拒否しました。
この後の人生を母がミキサー食を食べて生きていくようならば、普通の物を食べて、吐いてしまって、それが原因の事故(喉に詰まるなど・・)で死んだとしても、そのほうがマシなのではないかと思いました。
実施した対処法
結局、薬の処方以外では、以下のような対処をしました。
食事は、細かく刻んで出す。
食事に関しては、ミキサー食から妥協して、細かく刻んで出すようにしてもらうようにしました。
いわゆるキザミ食というやつです。
ハンバーグや魚なども刻んであるので、やはり味気ないですが、ミキサー食よりはまだマシかと思います。
何よりもご飯は、普通の硬さのものが出てくるので、それだけでも救いかなと思います。
食べるときに背筋を伸ばして食べるようにさせる。
食べる時の姿勢はやはり重要で、背筋を伸ばしている方が、食べたものが下に行きやすいようです。
なので、背筋をなるべく伸ばすようにして椅子に座るように、椅子の腰のところにクッションを当てるようにしてもらいました。
この二つの対処法に効果があったのか、症状は落ち着いてきて、毎食吐く状態ではなくなり、時々吐くくらいの状態になりました。
そして現在
症状を訴え始めてから半年近く経過しました。
現在、吐く回数は減りましたが、やはり上には上がってくるらしく、上がってきたものを再度飲み込むような事を時々しております。
騙し騙しの状態ではありますが、とりあえず様子見の状況です。
そんな状況ですが、月1程度で外食に連れて行ってます。
外食で、美味しい美味しいと言って食事をしている母を見ると、たとえ吐いたとしても、刻み食ではなく美味しい食事をさせてあげたいと思います。
ただ不思議に、そうやって外食に連れて行った時はあまり吐かなかったりします。
原因としてストレスもあるのかなとも思いますが、わかりませんね・・・
ちなみに「ミキサー食」を提案された時に「胃ろう」をするかどうかの話に似てるな・・と思いました。
嚥下能力(物を飲み込む力)が下がって自分でものを食べられなくなった時に「胃ろうをしてまで延命するか」いった問題があります。
もしかしたら私の母も、次はその「胃ろうの問題」に直面するかもしれません。
そうなった時にどういった決断をするか(もちろん母が意思を表明できれば、母の意思に従います)わかりませんが、今は少しでも残りの人生を食事含めて楽しく生きてもらいたいと思います。