介護問題

保険証廃止で認知症の人はどうなる?マイナンバーカード一本化けへの懸念

保険証廃止について

先日、以下のようなニュースがあり、SNSで一部話題になっています。

2024年秋までに保険証を廃止して、マイナンバーカードに統一する事を政府が検討しているとのことです。

このニュースを受けてSNSでは反対意見と賛成意見が飛び交っています。

一見すると、そもそも電子化・情報の一元化を嫌がる人が反対して、電子化・情報の一元化を促進しようという、いわゆるリテラシーの高い人が賛成しているようにも見受けられます。

私も認知症の親を持つ5年前ならば、大賛成だったかもしれません。

しかし、認知症の親を持った現在、これが実現されたらどうなるか・・不安でしかありません。

一元化自体は良いことだが・・

個人的には、証明書やカード類の一元化自体は良いことだと思います。

免許証、保険証、年金手帳、さまざまな証明書・カードが多くあり、管理が面倒くさいです。

可能ならば一つのカードで全てがまかなえるようにしてほしいです。

しかし、認知症の家族を持つ人の懸念に対して以下のような反応をしている人がいます。

「認知症とか理由にマイナンバーカードを作るのを嫌がることを言い訳にするな」

「無くしたら困るのは、保険証だってマイナンバーカードだっておなじだろ」

「暗証番号ならば銀行のキャッシュカードだって同じじゃん」

この点については・・

「あんたら、認知症(もしくは知的障害)の家族がいないからわからないんだろうな・・」

という感想です。

以下、その理由について説明します。

認知症の家族がいる場合の懸念

保険証は自ら作成・更新する必要がないが・・

保険証は役所から勝手に更新されたものが送付されてきます。

そして家族がそれを受け取ることができます。

対してマイナンバーカードは本人が申請して、受け取りにいかなければいけません。

認知症の人にはこれができないのです。

しかも5年ごとに自ら出向いて暗証番号を更新する必要があります。

これは、認知症・知的障害、寝たきりの人にはとても無理です。

保険証は施設に預けられるが・・

施設に親が入居している場合、保険証は施設に預けます。

訪問受診するときや病院に連れて行くときに保険証が必要だからです。

親が受診するたびに家族が保険証を持参して付き添うわけにはいきません。

しかし、保険証が廃止されたらどうなるのでしょうか?

マイナンバーカードを預けるのでしょうか?

預けた場合、保険証以外のことでもマイナンバーを使うことを強制されるようになって、家族がそのほかの手続きで使用したい場合は、どうするのでしょうか?(現状でもマイナンバー通知カードの提示を求められるケースがあります。)

そもそも、マイナンバー自体を個人情報として扱っているのに施設に預けること自体、どうなんでしょうか?

???「暗証番号はキャッシュカードでも同じじゃん」

「暗証番号がわからなくなったらダメなのはキャッシュカードでも同じじゃん」という意見については、確かにその通りです。

認知症の親のキャッシュカードの番号がわからなくなったら番号の更新も難しいです。

しかし振込などの手続きは、通帳+届印があれば、キャッシュカードがなくても代理人が実施することが可能です。

もちろん、わざわざ支店におも向かなければいけないなど面倒ですが、それでも代替手段があるのです。

マイナンバーカードの場合、代替手段はあるのでしょうか?

???「成年後見制度を使えばいいだけでしょ?」

少し知っている人ならば、成年後見人制度を使えばいいじゃんと仰るかもしれません。

確かにそうです。

成年後見制度を使えば、マイナンバーカードも作れるし更新もできます。(施設に預けるのかという懸念は残りますが)

しかし現状の成年後見制度は正直、欠陥があると思っています。(以下の記事参照)

お金に関するやっておいたほうがよかった事
認知症になると定期預金の解約ができない?後悔しないように今すぐ解約を!介護には、お金がかかります。 まあ、私の母も老後の事を考えて、だいぶ貯金をしてました。 銀行から言われるままに分割して定期預...

保険証の廃止のために、月々数万円を後見人に払い、親のためにお金を自由に使うこともできなくなり、相続時はがっぽりと相続手数料をとられる・・そんなおかしな話があるのかと思います。

もし実施するならば・・・

最初に書いた通り、カードの削減、情報の一元化について推進することについては、私自身は全く反対していません。

代理人(成年後見人ではなく家族)がマイナンバーカードを作成・更新できるならば、保険証の廃止でも一向に構いません。

絶対に本人でなければ作成・更新できないような仕組みを維持したまま、保険証の代わりにすることが問題なのです。

最後に

そもそも、そんなにマイナンバーカードを普及させたいのならば、通知カードを送って申し込みするとかいう手間をかけるんじゃなくて、「マイナンバーカードを最初っから送ってこいや」と思います。(当初から思ってました。)

いや、顔写真は・・とおっしゃるかもしれませんが、顔写真っていります?

そもそもマイナンバー導入の目的は物理的なカード作成じゃないでしょと思います。

一つの番号に紐づければ、その人の情報を取得できるようにすることではないのでしょうか?

この点について、私自身は政府にさまざまな情報を握られるとかどうでも良いので、どんどん推進すれば良いと思います。

カード持参+暗証番号を入れるとかうざいことをやってないで、本人の指紋や顔など生体認証的なもので本人を特定して、全カード・証明書廃止して病院に行くのも車を運転するのも手ぶらでできるようにしてほしいくらいです。

そのように「身体が存在すること=本人証明」になれば、これについての全ての懸念事項が解消されるでしょう。

果たしてマイナバーカード一元化で保険証は廃止になるのか、その時、認知症の人(知的障害、寝たきりの人など)はどうするのか?

さすがに政府も「全員成年後見人をつけるように」とかアホなことは言い出さないと願いますが、今後、情報に注視して行きたいと思います。