私が勤めていた会社では、「管理職」は「定額制」「パケホーダイ」等と揶揄されていました。
いくら使っても(残業させても)、定額(残業代がかからない)という意味です。
会社からすれば使い放題なんで、通信量(残業時間)なんて気にしませんよね・・・
今回は、そんな定額制時代の思い出について振り返ってみようと思います。
本記事では、法律的な意味の管理職ではなく、私の個人的な体験(私がいた会社)の「管理職」について記述しています。
(管理職と言っても管理監督者とは限らないから、残業代は出す必要がある云々・・については議論しません。)
もくじ
「管理職」とは
「管理職」と言っても、私がいた会社では、会社の組織を運営する立場(いわゆる課長、部長・・)と、個々のプロジェクトでマネージメントするような立場にわかれていました。
世間的には前者のイメージが大きいと思います。
私は、基本的には、後者の立場が多かったです。
「管理職」になると、会社側の人間かのように振る舞う事になります。
なので、労働組合からも脱退させられます。
ポイントは、会社側の人間になる事ではなく、会社側の人間として振る舞うという事です。(会社側の人間になるのは、いわゆる役員です。)
残業代がなくなるのも、労働時間に裁量権がある(事になっている)からです。
「管理職」になると・・
「管理職」になった途端に、基本給は爆上がりしました。
それまで、1年で数千円しか昇給しなかったのに「管理職」になった途端に10万円以上、一気に上がりました・・・
しかし、喜んだのは最初だけでした。
残業40時間以上で逆転・・
私の場合、計算すると残業が40時間を超えると割に合わなかった・・つまり「管理職」になる前の方よりも給料が低くなりました・・
なお、残業40時間などは、普通に超える状況でした。
残業200時間くらいになると、時給で言ったら、コンビニで働いた方が良いのではないか・・というくらいでした。
「管理職」になる前、土日連続で出勤とかした場合は、勤務時間にもよりますが、3万円程度にはなったのに、管理職だと土日出勤でも+0円です・・
残業制限がなくなった・・
一般職は残業制限がありました。
しかし「管理職」にはありません。45時間、100時間の残業超過の申請なども必要ありませんでした。
なお、健康に問題があるケースの場合のみ残業の規制がかかりました。私は血圧が高かったので、一応、規制がかかりました。
ただ、規制がかかったから仕事量が減る訳でもありません。
そして別に勤務時間を正直に申告しようが少なめに申告しようが給料も変わりません・・
行き着く結論は・・・わかりますよね?
1人分以上の仕事を求められる・・
基本、1人で1人分の仕事をしていると怒られます。
1人で何人分の利益が上げられるのかを問われます。
ただし、これはたくさん残業しろという訳ではありません。(少なくとも表向きは)
派遣の人を3人雇って自分含めて4人分の仕事をすれば、当然派遣の人は社員よりも「安い」ので、お得になる訳です。
つまり、4人分の仕事がある場合、どうするか?
能力がわかっている社員(そして、できるだけ優秀な社員)と一緒に仕事をしたいのが正直なところですが、利益を得るために、能力が未知の派遣の人を雇って仕事をしろという事になります。
その派遣の人が・・うーん・・・だった場合、所謂、尻拭いでかなり悲惨な目に遭う事になります。(実際に遭いました・・)
因みに、社員の方が派遣の人よりも能力が高いと言っている訳ではありません。むしろその逆のケースも多々あり、すでに長くいる能力が高い派遣の人などは、引っ張りだこでした。
問題は新しく派遣の人を雇わなければならない場合です。
はっきり言って、ギャンブルでした・・
緊急招集令
どこかで仕事がトラブっている場合、緊急招集令が発令されて寄せ集められます事が多々ありました。
なぜ「管理職」が寄せ集められるか。
「管理職は、一般職より、優秀だから?」
いやいや、もちろん、お金(残業代)がかからないからです・・・
そのプロジェクトについて何も知らない「管理職」が寄せ集められても、細かい仕事はできないので、大抵は、テストや資料整理の雑務をやる事になります。
ぶっちゃけ遊兵(いるにはいるけど、指示など行き届かないため、実質、作業はしてない人)もかなり存在しました。
今まで、最も、アホらしいと思った作業は、大量のEXCELファイルを開いて各シートの選択セルをA1にしていく作業です・・
最後に
元の会社の後輩に最近の様子などを聞くことがあります。
現在は働き方改革が一応、進んでおり、トラブルジョブさえ発生しなければ、100時間コースの残業などはほとんどないそうです。
このご時世をあいまってテレワークなども可能なので、かなり状況は変わったそうです。
なるほど、残業も多くなくテレワークまで可能だったら、ひょっとしたら自分も辞めなかったかな・・とも一瞬思いましたが、もっと精神的な要因も大きかったので、やっぱり辞めていたような気もします。
どちらにせよ、元の同僚の人たちが、私のように健康を害さずに済む、働きやすい環境になっていく事を祈ります。